なぜルベーグ外測度を導入するのか?
測度論を勉強していて,「ルベーグ外測度」 というものが出てきた.今回はこれの定義を見ていくと共に,導入の目的を自分なりに考えてみる.
まず,導入のモチベーションから.これを説明するために,左半開区間の「体積」を導入する.Rnの左半開区間∏i=1n(ai,bi]の体積v(∏i=1n(ai,bi])を
v(i=1∏n(ai,bi])=i=1∏n(bi−ai)
で定義する.これはai,biが与えられれば,具体的に計算できる.ここで,左半開区間全体に空集合∅を加えたものを,GRnとおく.これでGRnの元に対して,体積を測ることができる.ここで出てくる問題の一つは,「GRnに入っていない集合の体積はどうやって測るのか?」というものである.これがまさに,ルベーグ外測度導入の理由だと思う.
自分なりのモチベーションを考えることができたので,具体的に導入したいと思う.
任意のRnの部分集合E⊂Rnを考える.注意したいのは,これはERnに入っているとは限らないこと.Eの体積を測るための,基本的なアイデアは,左半開区間の体積は計算できるのだから,これで覆ってあげて,その下限をとるというものである.
SE={Ij}j∈NをGRnの可算個の集合列で,∪j∈NIj⊃Eとなるものとする.このようなSE全体をSEとする.今,SE={Ij}j∈Nに対して,
σ(SE)=j∈N∑v(Ij)
とおく.
ルベーグ外測度はこの下限として定義される.
∣E∣e=inf{σ(SE)∣SE∈S(E)}
これがルベーグ外測度の定義である.ここで,SEが一つも存在しないときはどうするのだろうか?という疑問が生まれる.結論からいうと,「Rnの開集合は互いに交わらない左半開区間の可算個の和集合で表される」という定理がある.証明は僕にとってはまだ難しく,省略してこの事実を飲み込むこととする.
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